こんにちは!放射線診断専門医として働くどらじです。
今回の記事では
- これから放射線診断医になる初期研修医の先生方
- 放射線診断の後期研修医をスタートされた先生方
に向けてぜひ取り組んでほしい7つの項目をロードマップ形式でご紹介します。

※放射線科専攻医になるには、各医療機関における放射線科の専門研修プログラムへの参加が必要です。プログラムの詳細については、各医療機関の担当部署に問い合わせてください。
必須項目
【必須①】日本医学放射線学会に入会しよう
放射線診断医は、放射線診断専門医の資格を取得してはじめて、読影レポートを1人で確定できるようになります。
この放射線診断専門医の資格を取得するうえで、日本医学放射線学会(JRS)へ入会することは必須といってよいでしょう。
放射線診断専門医の資格は2階建てになっていて、
- 1段階目の『放射線科専門医試験(1次試験)』
- 2段階目の『放射線診断専門医試験(2次試験)』
の各試験に合格する必要があります。
日本医学放射線学会専門医試験の申込情報・受験に必要な条件・試験対策に必要な過去問題集などを提供してくれていますし、後ろで述べる医師賠償責任保険も安く提供してくれます。
放射線科専攻医として働き始める4月には入会しておくことをおすすめします。
▼日本医学放射線学会 入会案内
【必須②】読影に必要な書籍を集めよう
画像診断を始めると
『これは何の疾患なんだろう?』
『これは正常なのか?それとも異常なのか?』
など悩むこと・分からないことが次々に湧いてきます。そんな時に支えになるのは、信頼できる書籍です。
最初のうちは、星の数ほどある画像診断本から自分のレベルにあった本を選ぶのは、なかなか大変な作業です。
このブログでは、どんな本を選んでいいかわからないよ…という先生方向けに放射線診断医1年目で役に立つ本をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
▼【必見】放射線診断医1年目の先生にオススメする画像診断本まとめ【16選】
新品で揃える必要はなく、中古本や医局の蔵書を活用することでもコストは押さえられます。
僕はよくAmazonで中古品を購入していますが、十分使えるものが多いです。
【必須③】IVRに必要な知識をつけよう
IVRは基本的な手技は共通していますが、施設により手技・主義に若干のオリジナリティがあることがあります。なので、上級医の手技を見ながら、手を動かして学ぶのが最も効果的です。
ただし、基本的な手技の流れ・血管解剖・使用器具・塞栓物質など、事前に自分で勉強できる知識もありますので、勉強してから臨むことをお勧めします。
勉強の助けになる書籍を、いくつか紹介させて頂きます。
IVRのすべて
手技の流れや解剖、使用器具などを幅広くカバーした、ボリュームの多いまさに『すべて』といえる一冊です。正直、これ一冊でだいたい事足りるのではないかと思います。
IVRマニュアル
様々な手技を幅広く、比較的簡潔にまとめた本になります。巻末に書いてある血管解剖のまとめも非常に便利です。
塞栓物質を使いこなすー適応と塞栓術の実際
ゼラチンスポンジ、ビーズ、NBCA、コイルなど、IVRでは様々な塞栓物質を使用します。それぞれの特徴や実際の使い方についてわかりやすく書かれています。『どんな手技にどの塞栓物質を使うの?』という疑問を解決してくれる本で、とてもありがたいです。
腹部血管のX線解剖図譜
『血管解剖で何かいい本ないですか?』と上級医に聞く度に、常にオススメされてきた本です。残念なことに紙の本は絶版になってしまいましたが、なんと電子版が出ました!!(歓喜)
シェーマが沢山載っていてわかりやすく、血管の破格についてもどの破格が何%程度あるかまで書いてあります。
可能ならぜひ手元に置いておきたい一冊だと思います。
【必須④】CT/MRIの指示出しについて知ろう
意外とご存じない先生方も多いですが、CTやMRIをどのように撮影するかを決めるのも、放射線診断科の大事な仕事のひとつです。
きちんと病変が描出されるように撮影しているか?無駄に被ばく量が多くなっていないか?などを管理することも、必要な仕事の1つです。
『そんなのやったことないから、不安だなぁ…』という先生も心配することはありません。
基本的には各病院でCTやMRIのルーチンの撮影法が設定されていることがほとんどですので、上級医や技師さんに確認してみましょう。
また指示出しで困った時の対処法としては、以下のようなものがあります。
- 上級医に相談する
- 画像診断の書籍で疾患のキー画像を調べる→キー画像が撮影できるシークエンスを含める
- 過去に同じような依頼で撮影した症例を調べる→シークエンスを真似る
まずは各施設で撮影されているルーチンをおさえ、加えてさらに疾患の診断に有用な撮影の指示を出したい場合には、以下の書籍がおすすめです。
CT・MRI実践の達人
CT・MRIの各領域の撮影ごとに、推奨プロトコルおよび簡潔な解説が記載されており、非常に実用的で使いやすい本です。聖路加国際病院放射線科のレジデントの先生方が書かれた書籍であり、若手目線でも親しみやすい本だと思います。
▼そのほかのCT・MRIの指示出しに関するおすすめ書籍もまとめていますので、よければご覧下さい。
【必須⑤】専門医試験の受験に必要な条件を確認しよう
入局してすぐに是非ともやっておきたいことが、専門医試験の受験に必要な条件の確認です。
日本医学放射線学会の会員マイページにアクセスして、自分の該当する条件について確認しましょう。
特に、以下の項目については確認することをおすすめします。
- 基幹施設、連携施設で勤務が必要な年数
- 必要な学術活動(学会発表、論文発表)
- 学会で受講する必要がある講習の単位数(専門医共通講習、放射線領域講習)
- 経験する必要があるモダリティと症例件数
専門医試験受験のための条件はやや複雑ですので、分からないことがあれば、以下のページからJRSに問い合わせて、確認するようにしましょう。
その他オススメ項目
【オススメ①】日本医学放射線医学会の医師賠償責任保険
研修医の先生方の大半は日本医師会の医師賠償責任保険に加入していると思います。
しかし放射線診断医の勤務医が日本医師会に所属するメリットはあまり多くはなく、必ずしも医師会で医賠責に加入する必要はありません。
また日本医師会に加入するには基本的に地区医師会・県医師会への加入が必要ですので、その分の会費が余計なコストとしてかかります。
概算としては対人賠償1億円のプランで
- 地域・県の医師会 年会費:約15000円
- 日本医師会 年会費(自賠責含む):68000円(30歳以上) 39000円(30歳以下)
となり、年齢によりますが7万円~10万円程度になります。
管理人のオススメは日本医学放射線学会の提携する医賠責(損保ジャパン日本興亜保険)です。
専門医取得のためにいずれにせよ医学放射線学会に入会しなければなりませんから、会費が余計なコストになりません。
同じ対人賠償1億円のプラン(100型)では
- 日本医学放射線学会 年会費:15000円
- 日本医学放射線学会 医賠責100型:40660円
となり、6万円弱です。医師会と比べて1-3万円程度の節約になります。
上手に節約したお金で、書籍を買うのもいいかもしれません。

僕は日本医師会を退会して学会の医賠責100型にしてるよ!特に不自由なくやれています!
【オススメ②】お気に入りのガジェットを使ってみる
モニターで画像を閲覧し、レポートを作成する放射線診断医にとって、知識や経験以外の仕事道具として、マウス・キーボードなどパソコン関連用品があります。
職場では、支給されたマウスやキーボードを使用することがほとんどですが、必ずしも読影に適した機能のものとは限りません。
コードが邪魔になったらマウスをワイヤレスマウスにしてみたり、画像をめくるための真ん中のホイールが便利なマウスを使ってみたり、メカニカルキーボードを使用してみたり。
自分の気に入ったガジェットを見つけるのも楽しみの一つになると思います。
個人的には、機能性やデザインのバランスがとれているLogicoolの製品をお勧めします。
ワイヤレスマウスとキーボードのオススメをご紹介しますので、是非一度試してみて頂けると嬉しいです。
※なお、薬事法やセキュリティの観点から、好きなマウス・キーボードを使用したい際には、使用する前に所属機関の医療情報担当や上司に相談することをオススメします。
ワイヤレスマウス
Logicool M705m
Logicool G G304 LIGHTSPEED
キーボードのオススメ
Logicool K835GPR
Logicool KX800 MX KEYS
国産のキーボードの最高峰の『REALFORCE R3シリーズ』
高いですが・・・(^^;)
なおREALFORCEを販売している東プレがある神奈川県相模原市では、ふるさと納税でREALFORCEが頼めるようです(寄付額 10-11万円)。最新の『REALFORCE R3』シリーズも取り扱っています!
まとめ
今回は放射線診断医になったら是非やっておいて頂きたいことを、ロードマップ形式でまとめてみました!
4月からスムーズに仕事に入れるように、是非参考にしていただけたら嬉しいです!
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