こんにちは!どらじです。この記事では
- 放射線診断専門医試験(以下二次試験)を受験予定の先生
- 放射線科専門医をパスして診断専門医試験の情報を集めたい先生
に向けて、試験対策についてまとめていきます。
筆記試験
問題の構成・内容
診断分野の問題は
各領域の問題が2-3問で1ブロックを作り、それが連続する問題構成
核医学分野の問題も
各領域の問題が1-3問で1ブロックを作り、それが連続する問題構成
となっています。
レジデントセミナーの授業項目を参考にしたおおまかな領域区分は
診断分野で
骨軟部、泌尿器、婦人科、膵・胆道、肝・脾、心大血管、胸部、小児、脳神経、消化管、頭頚部、乳腺、IVR
核医学分野で
RI内用療法、心臓、脳、肺、消化器、泌尿器、内分泌、腫瘍、骨・骨髄・炎症
となっています。勉強の参考にしていただけると幸いです。
対策方法:過去問+教科書
対策方法ですが、兎にも角にも過去問です。過去に同じ問題が複数回出題されていますし、たまに使いまわされている画像もあります。
理想を言えば過去問5年分の解きなおし、さらに理想をいえば時間が許す限り昔の過去問にさかのぼっても良いと思います。
解きなおしが済んだら、【非公式】放射線科専門医・診断専門医試験 解答例のサイトで答え合わせをし、解答作成者のコメントに目を通し、間違えた点や分からなかった点を勉強して知識を深めます。
特に診断分野では、典型的な画像を覚えると同時に、鑑別診断を覚える必要があります。なぜなら筆記問題の選択肢には、正解となる疾患の鑑別診断が含まれることが多いからです。
個人的な感想としては、KEYBOOKシリーズの解説ページの下に書いてある『鑑別診断のポイント』が非常に有用だったと感じています。
また核医学の分野では、典型的な画像所見を知っているかどうかを問う問題が多いですので、ご紹介する『核医学ノート』『わかりやすい核医学』の2冊を併用して勉強を進めるのが良いと思います。
二冊併用する理由は、典型的な画像を知りたいのにどちらかの本にしか載っていなかったり、項目ごとに解説の分かりやすさが違うという個人的な印象からです。
診断分野に比べて少し勉強しにくさがありますが、問題のパターンに慣れてしまえば得点源になると思います。
筆記試験に役に立つサイトと本をまとめておりますので、是非お役に立てて頂ければ幸いです!
役に立つサイト
日本医学放射線学会(JRS)会員専用ページ
過去問はJRS会員専用ページにログインして左の欄にある『専門医試験問題』からPDFで手に入れることができます。
一番直近の試験問題については、試験終了後から2-3ヶ月程度でアップロードされるようですが詳しい時期についてはJRSにお問い合わせください。
【非公式】放射線科専門医・診断専門医試験 解答例
【非公式】放射線科専門医・診断専門医試験 解答例では各年度の過去問題の解答を有志の先生方が作ってくださっています。
JRSからは正式な回答が出されないので、こちらのサイトを活用させて頂きましょう。
解答作成を担当された先生方のコメントがありますので、勉強の参考になります。
役に立つ本
診断分野
KEYBOOKシリーズ
筆記試験の画像は典型的な症例が多いですので、KEY BOOKを中心とした勉強でよいと思います。特に解説欄の下に書いてある『鑑別診断のポイント』は非常に重要な情報です。
時々出てくる難解な問題については、ネット上の文献やサイトで調べましょう。
IVRのすべて
IVRの問題は1-2問ですので、知識をつけるだけであればこの本で十分対応可能だと思います。
ただ選択肢に実践的な内容が入っていることがありますので、同じ病院のIVR専門医に教えてもらうことができればbestだと思います(なおIVR専門医でも解答が割れる問題もあるようですが…^^;)。
核医学分野
核医学ノート
各検査毎に半減期、集積機序、前処置、正常像が書いてあり、疾患と画像所見が1対1で書いてありますので、試験勉強には使いやすいです。ただ、時々掲載画像が見辛いことがあります。
わかりやすい核医学
掲載画像が非常にきれいです。ただ画像所見の解説に関しては、疾患と画像所見が1対1で書いてある訳ではないので、疾患の典型像を調べるには若干手間取ります。個人的には核医学ノートの補助としての併用をおすすめします。
基礎
各種ガイドライン
電子保存の要求事項について(真正性・見読性・保存性)
上記のガイドラインからもよく問題が出されています。何となく解ける問題もあるかもしれませんが、読むべきページはそれぞれ10ページにも満たないですし、一度目を通しておくことをおすすめします。
MRIの基礎的知識
基礎の分野の問題ではMRIの撮像法やアーチファクトについて聞かれることがよくあります。点数の配分は少ないので労力・時間対効果は高くないですが、日常臨床に活きてくる内容と思われます。余裕があればぜひ勉強しましょう。
このあたりの本がとっつきやすいと思います。
また、『決定版 MRI完全解説 第2版』には選択肢に出てくるような単語の解説が書いてあります。ただし試験までに完全に理解できるかどうか、、保証はありません。
その他
放射線科研修読本
放射線科研修読本はX(旧Twitter)の特に放射線科界隈で有名なるな先生(@R19890529)が執筆された本です。
専門医試験についてもかなりの情報量がありますので、一度目を通して頂くことをおすすめします。
ただ専門医試験以外の項目が興味深くて、勉強の手が止まるかもしれない点は注意です。。。(笑)
iPad
専門医試験問題をGoodnoteにコピーして書き込んだり、医書.jpやM2+で電子書籍を購入し持ち歩くことができます。診断専門医試験は原則東京で開催されるので、特に地方で勤務している先生方はスーツケースに大量の教科書を詰め込むのは無理があります。iPadに電子書籍を入れれしまえば、紙媒体を持ち運ぶ必要がないという大きなメリットがあります。デメリットとして、電子書籍になるにあたり非掲載となる画像や図表(取り扱い規約等)がありますので、注意が必要です。
また試験会場には携帯の持ち込みは不可なのですが、タブレットやPCは特にお咎めがないようです(今後は変わるかもしれませんが)。ちなみに、僕は10.9インチのApple iPad Air (256GB) とApple pencilを愛用しています。
口頭試問
【注意】口頭試問に関する情報は基本的に非公開のものが多いです。自分や周囲の先生方の体験、放射線科研修読本の内容を加味してまとめた内容になりますので、あくまで参考程度と考えて頂ければと思います。
問題の構成・内容
診断分野の部屋が3部屋・核医学の部屋が1部屋を各15分(移動時間1分含む)×4部屋=1時間でまわることになります。
診断分野の問題は、筆記試験と出題範囲は大きく変わらない印象ですので、筆記試験の勉強で対応できると思います。検査の種類や画像所見を述べ、鑑別診断をあげ、最終診断を解答するという日常臨床のプロセスが活かせると思います。
核医学分野については核種の半減期や集積機序、投与量、撮影時間がよく問われているようですので、その点の勉強は必要だと思います。
対策方法
こちらも過去問が手に入れば、是非活用して勉強しましょう。もし手に入らなければ、上級医の先生にどんな問題が出ていたか聞いてみる、あるいは過去問を入手している知り合いにお願いしてもよいかもしれません。
口頭試問に役に立つ本をまとめました!
役に立つ本
放射線科研修読本
口頭試問に関しても、放射線科研修読本にはこのページで掲載しきれない詳細な情報が書かれています(決して回し者ではありませんが、本当に役に立つと思います)。
KEYBOOKシリーズ
口頭試問では鑑別診断を述べることがあるので、筆記試験同様に解説欄の『鑑別診断のポイント』に目を通しておきましょう。
核医学の半減期・投与量・撮影時間まとめ
核医学の部屋でよく聞かれるシンチグラフィの核種の半減期・投与量・撮影時間を一覧にしてまとめています。ぜひ活用して頂けると幸いです。
まとめ
放射線診断専門医は放射線科専攻医にとって大きなステップになります。
過去問を徹底的に利用して対策し、ぜひ合格を目指しましょう!
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