こんにちは!どらじです。
今回は、近年目覚ましく発展しているAIについて書かれた『ドクターがやさしく教える!医療AI入門』についてのレビューを記事にしてみました。
おススメする対象は、こんな先生方です。
- AIに興味を持ち始めたけど、専門用語が多くてよくわからない先生方
- AIの研究をやることになったけど、何から勉強したらいいかよくわからない先生方
- AIに興味のある放射線科医の先生方
著者の先生は放射線学会の重鎮である熊本大学の山下康行先生ですので、特に放射線科医の先生方にとっては少しなじみやすい内容になっていると思います。
この本のおすすめポイントは、主に3点になります
- 医療とAIについての簡単なまとめが読める
- の代表的な機械学習のモデルの仕組みが簡潔に理解できる
- 畳み込みニューラルネットワークについて詳しく理解できる
もう少し詳しく書いていきます!
【おすすめポイント3選】
医療とAIについての簡単なまとめが読める
人工知能といえばディープラーニング、というイメージをもつ先生方も多いと思われます。
実は、現在は2000年代半ばからそのディープラーニングをきっかけに始まった第3次人工知能ブームの真っ只です。
先生方、特に放射線科医の先生方の中には、2016年にカナダ・トロント大学のジェフリー・ヒントン氏が放った
『今すぐに放射線科医の訓練をやめるべきである。5年以内にディープラーニングが放射線科医よりも優れることはきわめて明白である』
という言葉が印象に残っている方も多いと思います。
この本のはじめの方の章では
- これまでの人工知能ブームがどのようなものだったのか
- 医療分野にどのように応用されていたのか
- 人工知能、機械学習、ディープラーニングの違いは何か
といった内容がまとめられていますので、まずはAIに関する大まかな知識を得ることができます。
また終わりの方の章では山下先生がAI時代の医療とどう付き合っていくべきか、また放射線科医や病理医に向けてのメッセージを読むことができますので、自分の今後のAIとの向き合い方を考える機会になるかもしれません。
従来の代表的な機械学習のモデルの仕組みが簡潔に理解できる
AIが何かを判断するとき、画像やデータのなかで注目すべきポイントを『特徴量』といいます。
機械学習は、この特徴量をだれが決めるかで以下のように大きく分かれます。
- 特徴量をモデルを作った人(医師)が決める→従来の機械学習
- 特徴量をモデル自体が発見していく→ディープラーニング
現在、多くの領域で進んでいるのはディープラーニングを使った研究であり、特徴量をモデル自体が発見するように訓練されます(ただし特徴量はブラックボックス)。
一方、これまでのディープラーニングを使っていない文献では以下のような従来型のモデルが出てきます。基礎知識をつけたい方は読み込むことをおすすめします。
- 線形回帰
- ロジスティック回帰
- K近傍法
- サポートベクタマシン
- 決定木
- アンサンブル学習
※ただし、あまり聞いたことがない手法もあるかもしれませんので、興味がなければここで挫折せずに畳み込みニューラルネットワークの解説にすすんでも良いと思います。
畳み込みニューラルネットワークについて詳しく理解できる
ディープラーニングの代表的なモデルに、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network : CNN)があります。
少しディープラーニングをかじった先生方であれば聞いたことがあるかもしれませんが、CNNは主に入力層・畳み込み層・プーリング層・全結合層・出力層という5つの層で構成されています。
ざっくり言えば畳み込み層では特徴の抽出、プーリング層でその要約を行っていくのですが、じゃあ具体的には何をするのか?というところが、シェーマを多く使って分かりやすく解説してあります。
また、ニューラルネットワークの単位である人工ニューロンやパーセプトロンについても解説してあります。自分はこの章を読んで、かなりCNNに対する理解が深まりました。
まとめ
今後もますます医療の業界、特に画像診断の領域にはAIが進出してくると思います。
ただ多くのAIはまだ研究の段階であり、特に商用化に至るまでにはコストや精度など様々なハードルを越える必要があります。臨床的に実用性のあるものが普及してくるにはまだまだ時間がかかるでしょう。
ただし、特に若手の先生方にとっては今後必ず巻き込まれる渦だと思います。AIについて知り、味方につけていけるように、まず初めの一歩としてこの本を読んでみられてはいかがでしょうか?
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